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計量経済学の実証研究を紹介します。その他もろもろの備忘録にも使います。

計量経済学、ミクロ実証関連書籍の紹介

今回は、経済学や統計学の知識がなくても読める一般向けの書籍をご紹介します。

構成は以下のとおりです

  1. 実証分析の例が知りたい!
  2. 計量経済学を軽く勉強したい!
  3. 統計学を知りたい!

ではいきましょう。

 

1 実証分析の例が知りたい!

勉強はやっぱり面白くないといけません。まずは以下の書物から好きなのを選んで、「どんなことができるようになるのか」をつかんでみるとイメージがつかめていいと思います。

 

ヤバい経済学 [増補改訂版]

ヤバい経済学 [増補改訂版]

 

 私が計量経済学を面白いと思ったきっかけになった本です。原著はFreakonomicsというのですが、「ヤバい経済学」というのが名訳かどうかは謎です。いわゆる「ヤバ経」この本はアメリカで大ヒットとなった本で、経済学ブーム的なのが起きたらしいです。計量の分野でも取り分け刺激的なものを選んで載せているため、内容は「ヤバい」です。中絶と犯罪率の論文が一番有名でしょうか。理論的な説明はほとんどないですので、気楽に読めます。

 

 

「ほとんど無害」な計量経済学―応用経済学のための実証分析ガイド

「ほとんど無害」な計量経済学―応用経済学のための実証分析ガイド

 

 以前紹介したJoshua Angristが書いた本です。若干難しいですが、以外と説明が丁寧なので読めなくはないと思います。本文中に数多く登場するイラストの意味は全くわかりませんが、応用分野にまで触れており、内容は素晴らしいです。理論面の説明が若干多いかもしれませんので、不安な方は次にあげる本を読みましょう。

 

 

Mastering 'Metrics: The Path from Cause to Effect

Mastering 'Metrics: The Path from Cause to Effect

 

 英語です。まだ邦訳はないと思います。この本は、上にあげた「ほとんど無害」の簡単バージョンです。なぞのキリギリスとともに計量経済学のトピックを勉強していきます。実証研究の紹介数と理論面の説明とがバランス良く配置されているので、英語に抵抗がなければ最もお勧めしたい本です。

 

 

経済学をまる裸にする  本当はこんなに面白い

経済学をまる裸にする 本当はこんなに面白い

 

 これも私が経済学を勉強し始めたぐらいに読んだ本です。内容は先にあげたものと同じように実証研究の紹介です。「ヤバ経」的な本ですが、そこまで癖は強くないのでより気楽に読めます。

 

 

「学力」の経済学

「学力」の経済学

 

日本でもついに実証研究が日の目を浴びる日が来たか、という感じです。去年発売された本で、Amazonの経済学カテゴリ第1位を獲得しました。計量経済学の文脈で、教育の収益効果の研究、つまり教育は割に合う行為かという研究は1大テーマであり、アメリカでは何十年も前からずっっっと論争が繰り広げられてきました。これは、その周辺の話を一通り勉強できるいい本だと思います。少人数学級が効果的なものかどうかなど、現役の学生にも身近で比較的関心を抱きやすい本だと思います。お勧めです。

 

2 計量経済学を軽く勉強したい!

この項では、論文の内容紹介では満足できない!という人のために、計量経済学の基礎を学べる教科書を紹介します。昨今は計量経済学の教科書出版ブームですので、多くの教科書がありますが、以外と難しいのも多いので、ムムムという感じです。自分の実力にあったものを選びましょう。

 

 

Introductory Econometrics 5e [AISE]

Introductory Econometrics 5e [AISE]

 

 計量経済学の世界標準テキストです。本当に基礎的なことから(なんと四則演算から)教えてくれます。最終的には系列相関やパネルデータ分析の入門まで扱っていますので、学部レベルはこれで十分と考える大学教授も多いです。見てわかる通り英語ですが、英語は平易ですし、系列相関のところ以外はわかりやすいと思うので、とってもお勧めです。演習問題が豊富なのと、コンピュータエクササイズが付いているのも評価ポイントです。

 

 

計量経済学 (y21)

計量経済学 (y21)

 

 日本語の学部上級テキストです。学部上級とはいえ、行列表記かどうかが上級かそうでないかの違いなので、行列大丈夫だよっていう人はこれを読むのが手っ取り早いです。(付録の行列の解説で十分という説もあるので、行列のできない人でもチャレンジする価値はあります)演習問題も豊富でとってもよろしいと思います。

 

 

実証分析入門  データから「因果関係」を読み解く作法

実証分析入門 データから「因果関係」を読み解く作法

 

 項目の1に入れようかどうか迷いましたが、こっちに入れておきます。日本語版でのMastering Metricsだと思えばいいです。スラスラと読める上に、最終的にはブートストラップやベイズ統計まで入門できるので、個人的にはお得だと思いました。実証研究の例として取り上げられる論文が、政治経済学*1よりなので、そっちが好きな人にはとてもいいかもしれません。

 

 

3 統計学を知りたい!

計量経済学の基礎は統計学です。統計を知れば理解が深まること間違い無しです!

とはいっても、統計はみんな苦手な確率とかのお話ですので、嫌いな人も多いと思います。今回はそんな人でも読めるような本を集めました。

 

 

統計学が最強の学問である

統計学が最強の学問である

 

 有名な本ですね。なんの前提知識もいりません。これ一冊でなんだかわかった気になれる魔法の本です。また、計量経済学に使う最小二乗法の説明が載っているのもいい点ですね。統計学は方法論の学問であり、生物学、物理学、化学、経済学、人工知能論等々のあらゆる学問分野の基礎をなす学問です。ゆえに、「最強」と言っているのでしょうが、なんだか他の分野の方に怒られそうですね…

 

 

 

統計のはなし―基礎・応用・娯楽 (Best selected business books)

統計のはなし―基礎・応用・娯楽 (Best selected business books)

 
確率のはなし―基礎・応用・娯楽 (Best selected business books)

確率のはなし―基礎・応用・娯楽 (Best selected business books)

 

 私が統計や経済を勉強し始めた際に読んだものです。直感的に理解できるよう解説がなされていると感じました。具体的な事象に絡めて解説がなされるのですらすら読めますが、色々と勉強してからもう一度読むと、新たな発見があったりと楽しい本です。

 

 

 

統計学入門 (基礎統計学)

統計学入門 (基礎統計学)

 

 東京大学の学部生向け統計学講義で用いられる教科書です。一冊で多くの範囲を抑えることができるのでお勧めです。記述が簡潔、というか不親切気味ですが、その分注意深く読めて理解が深まります。*2

これの続編として自然科学用と社会科学用の二冊があり、これらも非常に優れた教科書です。

 

 

おわりに…

 今回は書籍の紹介でした。皆さんの学習の参考になればと思います。

ただし、発展的な内容を扱っている書籍は紹介していないことと、今の時代ネットに落ちているpdfファイルこそが勉強の最大のツールであることの二点を忘れてはいけません。

知りたいことがあったらまずググりましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

*1:著者の方が政治系の方です

*2:その効果を狙っているとは思えません